揚力「リフトフォース」はダウンフォースの敵であり車体を不安定にする大きな原因

スポーツカーをエアロパーツでチューニングしても思った以上にダウンフォースが得られていないことをご存知でしょうか。ダウンフォースと対極を成す空気の力が揚力(リフトフォース)と呼ばれるものです。揚力は車体に流れる走行風の逃げ場がない場合や車体下面に大量の走行風が入る、もしくは綺麗に流れない場合に発生する「車を持ちあげてしまう力」です。ダウンフォースが欲しくて空力チューニングを行っても揚力を抑えるリフト対策を行っていなければチューニング効果も半減してしまいます。


この記事では車体を押さえつけるダウンフォースのロスとなる揚力のメカニズムと対策を皆様にシェアさせて頂きます。

 

 

 

1.車体を持ち上げる揚力とは

揚力とは車体を沿う空気の流れによって車体が持ち上げられる力のことで飛行機の翼も揚力を発生させることで機体を浮かせます。数値としてはCL値とも呼ばれ速度に比例して車の安定性を低下させてしまう一番の原因です。

 

 

揚力発生のメカニズム

リフトフォースが働く大きな原因には「車の車速」と「車体構造」が挙げられます。

自動車の車速が高くなるにつれ車体下面に流れる空気が複雑な自動車の構造や下面に滞留し正圧を発生し持ちあげてしまいます。

この空気の流れによって車体が持ち上がる現象をリフトフォース(揚力)と呼びます。揚力の発生は車体を持ちあげてしまうのでタイヤにかかる面圧が低下し車体を不安定にしてしまいます。

 

 

 

リフトフォースと対極にあるダウンフォース

リフトフォースは車を持ち上げてしまう力で、その真逆の空力がダウンフォースです。

ダウンフォースは飛行機の翼の構造を応用し車体の上面下面に流れる流速に意図的に差を設ける事で負圧を発生させ車体を地面に吸い寄せる力です。

空気の力によって車体を押さえつけるので車重以上ものタイヤ面圧を稼ぐことができ高いグリップ力を発揮させることが可能です。

速く走るF1車両・レーシングカー・スポーツカーにとってダウンフォースは無くてはならないエアロダイナミクスなのです。

「ダウンフォース」はレーシングカー・スポーツカーのグリップ力を更に高める空気の力

 

 

 

揚力の発生=ダウンフォースの効率低下

地面に車を押さえつけるダウンフォースが発生したとしても、車速が上がれば必ず揚力は発生してしまいます。

揚力の発生に伴いタイヤのグリップ力は低下することになるので車の姿勢と挙動は不安定な状態になります。

早く走るためにダウンフォースを身に付けたとしても、揚力を抑えるチューニングを行っていなければダウンフォースがもたらすメリットを100%活かせていないことになります。

言い換えればエアロダイナミクスの効果を最大限に引き出したければリフトフォースの対策が必要不可欠なのです。

 

 

 

 

2.揚力を生み出す車の構造「原因」

レーシングカーと異なり生産車の構造は手の込んだエアロダイナミクス処理を行っていません。具体的には車体下面の処理や走行風が溜まりやすいエンジンルームやフェンダーから空気が逃げる構造では無いので揚力を発生させてしまいます。

自動車整備

 

 

空気の流れが悪い車体フロア

リフトフォースは車体下面に流れる空気の流速が車体上面よりも遅くなること、また車高が高く車体下面に流れ込む空気の流量が多くなることで発生します。

一般的な生産車の車体フロア(下面)はトランスミッションやエンジン、プロペラシャフト、エキゾーストがむき出しになっていることも多く、お世辞にも空気の流れが良いとは言えません。

この車体フロアの複雑な構造が空気の滞留を生み下面の流速を低下させるので揚力が発生します。

 

 

 

空気が溜まり車体を持ち上げてしまう構造

スポーツカーを含む多くの生産車は車体の構造上走行風が滞留し車体を持ち上げてしかう設計になっています。この大きな揚力を発生させてしまう代表的な構造がラジエターとフェンダーです。

 

ラジエターを冷やす走行風

自動車が走り続けるために、エンジンを冷却するラジエターは必ず必要な構造物です。しかし、車体前方から導かれるラジエターを冷やす走行風はエンジンルーム内に滞留してしまい逃げ場がありません。

その結果速度に比例して走行風が増えると逃げ場を失った冷却風がボンネットを持ち上げ大きな揚力を発生させてしまうのです。

 

 

タイヤを収めるフェンダー内の走行風

オープンホイールのフォーミュラーカー以外の車は基本的にタイヤを収めるスペースであるフェンダーを持ちます。

このフェンダー内に車体フロアから流れる空気ややタイヤが巻き上げる走行風を滞留させてしまいます。その結果逃げ場を失った空気がフロント/リアのフェンダー内からボディを持ちあげてしまい揚力を発生させてしまいます。

 

 

 

 

 

3.揚力を低減させる方法と空力パーツ

揚力を低減させる具体的な方法は「空気の滞留を改善する」ことと「ダウンフォースを生み出す」ことの2つが存在します。現在のボンネットやフェンダー、アンダーフロアの状況を見直し改善することで高いリフト抑制を実現することが可能です。

 

 

走行風が滞留する車体構造を改善する

揚力の低減に大きく貢献する改善方法に空気が溜まってしまうボディ構造の改善があります。具体的には空気によって持ち上がってしまうボンネットとフェンダーの空気を上手に排出することでリフトを抑えることができます。

 

ラジエター冷却風を排出するエアロボンネット

ラジエター走行風が滞留することでボンネットが持ち上がるほどの揚力が発生してしまいます。

この現象を改善するには空気の逃げ場をボンネットに設けることが一番効果的で、エアアウトレットが設けられたエアロボンネットが有効な対策となります。

しかし、一番大切な事は空気の出口であるエアアウトレットに漏れなく空気を導くことです。

 

 

冷却風を漏らさず導くラジエターシュラウド

大きな揚力を発生させるラジエター冷却風を綺麗に導き車外へ排出することが揚力の低減に大きな効果を発揮します。

しかし、一番大切なことはラジエターを抜けてきた冷却風を漏らさずにエアアウトレットへ導くことであり、それを実現する部品がシュラウドと呼ばれる導風板です。

 

 

タイヤハウス内の乱気流を抜くエアロフェンダー

ラジエター冷却風と同様にボディその物を持ちあげてしまう揚力発生個所にフェンダーがあります。

タイヤが巻き上げる走行風をフェンダーの外に上手に排出することで効果的に揚力を低下させることができます。

フェンダーに正しくエアアウトレットが設けられたエアロフェンダーを装着すると非常に効果的です。

 

 

 

車体フロアの走行風滞留を無くし流速を高める処理

リフトフォース(揚力)の低減を図る効果的な方法に車体下面(アンダーフロア)の空気の流れを早くする方法があります。下面流速が上がる事で揚力が抑えられつつ、逆に負圧(ダウンフォース)が発生し車体の安定感が高まります。

 

下面走行風をスムーズに流すフラットボトム

車体フロアから露出しているパワートレインやドライブトレインによる下面の凹凸は著しく空気の流れを阻害します。

つまり、車体下面の凹凸をできるだけ無くしフラットに保つことも揚力の低減には効果的ということです。

車体をフラットに保つには「フロント・センター・リア」のセクションごとにパネルを設けてフラットボトムを実現するとリフト対策にも空力(ダウンフォース)的にも効果的です。

 

 

リアの走行風滞留を改善するエアロバンパー

フラットボトム化行い車体下面に流れる空気を綺麗に流したとしてもリアの出口の処理が不十分だと効果が半減してしまいます。

空気の流れを滞留させない下面出口の処理として有効な物にエアアウトレットが設けられたエアロバンパーがあります。

リアバンパーにエアを抜く穴を設ける事で空気の引っ掛かり=滞留が減少し揚力発生の原因が低下します。

 

 

以上でリフトフォースに対する記述を終えさせて頂きます。

空力チューニングは社外品のカスタムパーツで容易に可能ですが、ダウンフォースのロスを減らすことが効率の良い空力チューニングということを忘れないで下さい。

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