FFスポーツカーコーナリング

前輪駆動車「FF=フロントエンジンフロントドライブ」の特徴

フロントエンジンフロントドライブ機構を持つ、通称「FF」と呼ばれる前輪駆動車は、フロントセクションにのみドライブトレインを搭載することで加速/旋回を完結させるというシンプルな構造を持ちます。このFFレイアウトは部品点数が簡略化できるため、工数とコストを低減でき、高い生産効率を持つ設計と言えます。一方で車体前半に全てのドライブトレイン=重量物を設置することと、前輪だけで加速/旋回を担う為、ハンドリング特性はアンダーステア特性を示し、トラクションも悪く加減速も苦手です。

前輪駆動車シビックタイプR 出典:pixabayより

 

この記事ではFF車が持つ「レイアウト・生産性・ハンドリング」などの特徴についてシェアさせて頂きます。

 

 

 

1.前輪駆動車のレイアウトと特徴

前輪駆動車の多くは、車体の前方にエンジンとトランスミッションを連結して横置きに搭載する、フロントエンジンフロントドライブレイアウトを持ちます。このレイアウトは、全てのドライブトレインがフロントに搭載されることで生産車に必要な「室内空間と走行性能」を上手く両立しています。

フロントエンジンフロントドライブレイアウト 出典:pixabayより

 

 

FF=フロントエンジンフロントドライブ

エンジンからの動力を、車体に備わる前輪に伝達し、旋回/加速をフロントタイヤのみで行う自動車を「前輪駆動車」と言います。

前輪駆動車の多くは車体の前側(フロント)にエンジンとトランスミッションを搭載し、駆動を完結させるので、
フロントエンジンフロントドライブ(略称FF)とも呼ばれます。

前輪駆動車の定義は「フロントタイヤのみが駆動している」ということですが、効率が悪く、意味をなさないリアエンジンフフロントドライブやミッドシップエンジンフロントドライブなどのレイアウト方式は存在しません。

つまり世の中に存在する、ほぼ全ての前輪駆動車がフロントエンジンフロントドライブ=FFレイアウトを持っています。

 

 

 

エンジン・ミッション横置き構造が特徴

前輪駆動車の多くは車体のフロント側に設けられるエンジンルーム内にエンジンとトランスミッションを横並びに設置するレイアウトを持ちます。

この前輪駆動車=フロントエンジンフロントドライブ特有のパッケージングを、FFレイアウトと言います。

FFレイアウトはエンジンルーム内にエンジンとトランスミッションを横置きにドッキングし、レイアウトすることで動力機構の全てを一つの空間にコンパクトに搭載します。

前輪駆動車は、エンジン・ミッション横置きレイアウトを実現する為に、エンジンルームはFR車(後輪駆動車)に比べて「縦に短く横に長い」設計となります。

 

 

 

 

 

2.前輪駆動車は生産性が高い設計

前輪駆動車=FFレイアウトは、コンパクトなドライブトレインレイアウトと分品点数の削減により、自動車メーカーにとって生産性が高く、量産車に最適な設計です。この部品点数の削減やエンジン/トランスミッション横置き構造は、工数の削減に繋がり、生産コストの削減を実現しています。

自動車組み立て工場 出典:pixabayより

 

 

構造が単純なので生産性が高い

FFレイアウトはエンジンとミッションが横並びにドッキングする動力レイアウトを持ちます。

エンジンとミッションがきちんと搭載できるボディさえ設計してしまえば、動力源が横置きでコンパクトなパワーユニットを搭載するだけなので工数が少なく生産効率がとても高いです。

つまり、FFレイアウトはシンプルな構造でありながら、自動車にとって必要不可欠な「走行性能/居住空間」を両立でき、生産性が高いので自動車を量産する自動車メーカーにとっては理にかなった設計なのです。

 

 

必要部品が少ないのでコストが低い

フロントエンジンフロントドライブ機構を持つ前輪駆動車は、完成に必要な部品点数が少ないという特徴があります。

何故、部品点数が少なくなるかを説明すると、FFレイアウトは自動車にとって欠かせない動力機構がフロントのみで完結します。

これは後輪駆動車に比べるとプロペラシャフトが必要無く、後輪駆動車のように後輪のトラクション性能を必要以上に重視しなくても問題がない為、リアセクションを簡略化できることを示します。

つまりFFレイアウトは後輪駆動車に必要な部品と、トラクションを生み出す機能的なリアセクションが必要無いので部品点数が少なく済むわけです。

部品点数が少ないという事は、単純に物づくりに必要な時間もコストも少ないので、生産効率が高く、低コストな自動車が出来上がります。

 

 

 

 

 

3.前輪駆動車「FF」のボディーバランス

自動車が持つボディバランスを図る指標に前後重量バランスがあります。自動車の用途別に最適な重要配分は多少異なりますが、一般的に理想とされる前後重量配分は50:50と言われています。しかし、FFレイアウトを持つ前輪駆動車は車体の前方が重たくなるフロントヘビーなボディバランスとなります。

前後重量配分

 

 

前輪駆動車=フロントヘビー

前輪駆動車のほとんどは、フロントエンジンフロントドライブ機構を持つFFレイアウト(パッケージ)を採用しています。

つまり、「エンジン/トランスミッション/デファレンシャル/ドライブシャフト」という全てのドライブトレインがドッキングし、フロントに設けられたエンジンルームに全ての動力機構が搭載されるレイアウトを持ちます。

これは、フロントセクションに全ての重量物が搭載されることを意味し、車の運転席よりも前方が重たいバランスになることを示します。

自動車産業を取り巻く自動車業界では、フロントに全てのドライブトレインを搭載するFFレイアウトを、前後重量配分がフロントよりになるため「フロントヘビー」と呼びます。

 

 

 

前輪駆動車は足回りの自由度が低い

フロントに設けられたエンジンルームに全てのドライブトレインを搭載するFFレイアウトはエンジンルームの横幅を広く取る必要があります。

一般的な生産車の車幅とFF車に多い「直列四気筒エンジン+トランスミッション」の搭載に必要な横幅を差引すると、足回り設計に残された空間や面積は非常に少なくなります。

つまり、前輪駆動車はFFレイアウト故に、サスペンションやアームを含む「足回り全体」の設計の自由度が低くなります。

この少ないスペースで活躍するサスペンション形式が「マクファーソン・ストラット式サスペンション」です。

ストラット式サスペンションはサスペンション=「スプリング/ショックアブソーバー」自体が車輪を固定する「ハブ」に直接固定されるため、ウィッシュボーン式やマルチリンク式のようにアッパーアームを搭載するスペースが必要なく、前輪駆動車にとって最適な足回り設計なのです。

例外としてホンダの初代シビックタイプRや初代インテグラタイプRには前後ダブルウィッシュボーン形式のサスペンションが搭載されており、デビュー当時の運動性能(旋回性)の高さは定評がありました。

 

 

 

4.前輪駆動車は居住性が良い(メリット)

前輪駆動車はフロントエンジンフロントドライブというFFレイアウトのおかげでエンジンルーム以降に機関部が無く、車体フロアをフラットにでき室内空間やラゲッジスペースを最大限に確保できるというメリットがあります。

 

前輪駆動車の機関部はフロントだけ

前輪駆動車はエンジンやトランスミッション、デファレンシャルといった動力を作り伝達する機関部を全てフロントのエンジンルームに搭載しています。

これは自動車として必要不可欠な「走る」という要素をフロント部分だけで完結させていることを意味しています。

フロントにエンジンを積み後輪をも駆動させる「後輪駆動車=FR」や前輪駆動車=AWD/4WD」には必要不可欠なプロペラシャフトや、それを通す為に必要フロアトンネルと呼ばれる構造が前輪駆動車では必要ありません。

 

FFだと多くの車種で室内空間が広く取れる

前輪駆動車ではプロペラシャフトは必要なく、トランスミッションもエンジンルームにあるので、フロントセクション以降の車体をフラットに設計することが可能です。

その結果、「セダン・ハッチバック・クーペ・ミニバン・SUV」というあらゆる車種タイプにおいて最も居住空間を広く設計できます。

乗車する運転席のドライバー、助手席、後部座席においても前輪駆動車のメリットである居住性の高さによって快適な室内空間を確保できます。

また、荷物を置くラゲッジスペースも駆動に必要なドライブトレインが無い為、最大限に確保できるという特徴があります。

 

 

 

5.前輪駆動車が持つハンドリング特性(デメリット)

前輪駆動車は、フロントにあるエンジンルームに全てのドライブトレイン、言い換えれば全ての重量物が搭載されています。つまり、フロントの重心点がコーナリング時に発生する慣性モーメントの影響を強く受けます。更にFFレイアウトは、フロントの駆動輪で旋回/加速を行うが故に、運動性能は物理的にも最も低くなる駆動方式です。

FFスポーツカーコーナリング 出典:pixabayより

 

 

FFレイアウトは物理的構造的にアンダーステア特性を示す

フロントヘビーレイアウトによる慣性モーメントの影響で、フロントが外側へ引っ張られる現象と、前輪駆動によるタイヤキャパシティーの不足が足されることで前輪駆動「FF」車は強いアンダーステア特性を持ちます。

 

 

駆動方式によるアンダーステア

前輪駆動車は、パワートレインから伝達される動力をフロントタイヤに伝えることで加速し走行しています。さらにコーナリングにおいても駆動輪を使用し、加速/旋回という2つの仕事を前輪でのみ行っています。

しかし、タイヤが持つグリップ力(仕事量)は限られており、加減速時の縦に使う仕事量と旋回時の横に使う仕事量の合計で100%しか使えません。

後輪駆動車は後輪で加速するのでフロントタイヤを100%旋回に使えますが、前輪駆動車は旋回と加速をフロントタイヤのみで行う為、後輪駆動車に比べてコーナリングに使えるフロントタイヤのキャパシティーが少なくなり、ハンドリングはアンダーステア特性を示します。

 

 

フロントヘビーによるアンダーステア

駆動輪の違いによるアンダーステア特性とは別に、前輪駆動車は更なるアンダーステアのファクターを持ち合わせています。

それは、多くの前輪駆動車が採用しているFFレイアウトによるフロントヘビーな重量バランスによって起こるアンダーステア特性です。

車体のフロントが重たい、すなわち重心点がドライバーよりも前方にあるわけですが、フロントに重量物がある場合、コーナリング時に車体前方の重心点が慣性モーメントの影響を強く受けることになります。

その結果、フロントに搭載されたドライブトレイン=重量物が外側に強く引っ張られる、もしくは押し出されるように力が働くことで、FFレイアウトを持つ前輪駆動車のハンドリング特性は物理的にアンダーステアを示します。

 

 

FFレイアウトを持つ前輪駆動車は、スポーツやレースという速さや運動性能競う場では、不利なレイアウトとなります。

しかし、自動車メーカーや日々の買い物や通勤、旅行などの日常生活に自動車を使用する一般消費者にとってはコストが低く、室内空間も広く取れる為、素晴らしいレイアウトと言えるでしょう。

2件のコメント

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